BLOG&NEWS

2025.6.09

退職後も安心できる、認定のポイントと注意事項

■税務署や裁判所の実質基準に関する判断は今後さらに厳格化する

実質的に退職しているかどうかについては、

前回のブログで紹介したように、

法人税基本通達に基づく具体的な判断基準があります。


しかし、最近の裁判例の動向を考慮すると、

状況は厳しくなっていると言わざるを得ません。



通達の規定に従った会社の主張が、

認められなかった事例もあるのです。


たとえば、代表取締役から取締役に役職が変わり、

役員給与の額が大幅に減少したことを理由に

支給した役員退職金について、

損金算入が否認されたケースがあります。


この決定に対して、

「損金算入が否認されるのは不当だ」と裁判で争われましたが、

その請求が棄却されました。


裁判所の主張は、次の通りです。

・通達は、そのなかに示されている3つの事実のうち、

 どれかひとつでも該当すれば退職であると認めるべき、

 という趣旨ではない


・本件では、実質的に退職したという事実がない





実質基準に関する税務署や裁判所の判断は、

今後さらに厳しくなっていくことが予想されます。


そのため、とくに取引先との関係や、


財務、人事権の引継ぎなどを後継者へしっかりと行い、

重要な意思決定には関与しないようにしましょう。


思い切って、給与を受け取らない形にするほうがいいのかもしれません。



オーナー企業の場合、

退職後も引き続き経営上主要な地位を占めていることが多いため、

退職が認められない可能性は高いのです。



社長を退任したあと、経営にまったく関与できない状態は、

物足りなさを感じるかもしれませんね。



匙加減は難しいところですが、

引継ぎがうまくいかなかったことなどの

相談を受ける程度であれば、

大きな問題にはならないでしょう。




『社長の資産を増やす本』(星野書房)

    好評発売中!


まずはお電話でご相談ください!

営業時間:8:30~17:30
(土日・祝日除く)