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2025.4.28

社長に知ってほしい退職金の基本

■「役員退職金」の役割


社長の退職金に関することは、何となく知っているようで、

じつは「知らなかった!」ということも多いものです。


今回は、社長の退職金についてお話しします。


社長の退職金は、「役員退職金」と呼ばれ、

社長が生前に勇退する場合や、

死亡により退職する際に支給されるものです。




生前の退任であれば社長自身の老後の生活をサポートし、

死亡による退職であれば遺族の生活保障や

相続対策のために支払われる一時金です。



また、亡くなった際に支給される一時金には、

通常の退職金とは異なる「弔慰金」というものもあります。



弔慰金は、故人の功労をたたえるためのものであり、

それに対して死亡退職金は、

勇退時に受け取る予定だった退職金に相当し、

遺族の生活をサポートする目的が強いと考えられています。



社長への一時金に関する損金算入に関しては、

のちほどお話ししますが、

弔慰金と死亡退職金とでは計算方法が異なるため、

ブログでは死亡時の支給金を「死亡退職金」に絞ってご紹介します。



また、経営者の方々が物心ともに

豊かな人生を送ることを目的としているため、

主に「生前に受け取る役員退職金」に焦点を当てて説明します。



同じ退職金であっても、

経営者である役員が受け取る役員退職金と、

従業員が受け取る従業員退職金とでは、性質が異なります。


従業員退職金は雇用契約に基づくものであり、

退職金規程に定められていれば会社が支給する義務があるため、

従業員本人に受け取る権利があるものです。



一方、役員退職金は、

定款に規定がなくても株主総会での決議がない限り

会社の支給義務は生じず、

役員退職金規程があったとしても

取締役会の決定が必要です。



そのため、本人にも受け取る権利が生じません。

一般的に、役員退職金のほうが額は大きいため、

恣意的な金額設定や単なる節税対

策として使われることを防ぐ必要があります。



役員退職金は会社法による規制が適用されたり、

会計や税務のルールに気を配らなければいけない点が、

従業員退職金との大きな違いです。






■役員退職金のメリットを知ろう


会社にとっても社長本人にとっても、

役員退職金を支給することは重要であり、

大きなメリットがあります。



【会社にとってのメリット】

・法人税法上、原則として損金算入が認められる

→法人税などの節税、自社株の評価減につながる



【社長本人にとってのメリット】

1.退職所得控除額が大きいため、

  役員報酬(給与所得)としてもらう場合に比べて、

  所得税等が少なくなる


〈退職所得控除〉

・勤続年数が20年以下の場合:40万円×勤続年数

・勤続年数が20年超の場合:800万円+70万円×(勤続年数-20年)



2.役員勤続年数が5年超の場合、
  「退職金の額-退職所得控除額」× 1/2が退職所得の金額となる


3.ほかの所得と分離して課税される


4.退職後に受け取った役員退職金は健康保険・
  厚生年金保険の報酬・賞与に該当しないため、
  社会保険料が不要であり、年金支給停止にも影響しない


5.勇退後の人生を豊かにできる



役員退職金は、会社と社長の両方にとってメリットがあります。


とくに、節税の部分が強調されがちですが、

実際には社長本人にとっても重要な利点があるのです。

たとえば、「勇退後の人生を豊かにできる」という点を、

わたしたちは重要視しています。



世の中の多くの経営者は生涯現役を指向しているため、

生前に退職金を受け取ることについて、

しっかり意識している人は少ないように感じるのです。



経営者として、一生活躍すること自体は素晴らしいことですが、

社長亡きあとの会社の将来を盤石なものとするためにも、

社長の死亡による事業承継ではなく、

生前の事業承継を推進することが重要です。



ご家族には、「死亡退職金」として一時金が渡るのではなく、

社長が元気なうちに退職金を受け取ることで、

長年のご苦労に報いる機会を与えることにもなります。


ぜひ、やり残しをなくして悔いのない人生を歩みましょう。






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