◼️自筆証書遺言野リスクを知っておく
遺言書には、大きく分けて2つの形式があるのをご存じですか?
ひとつは、公証役場で2名の証人とともに作成する「公正証書遺言」。
もうひとつは、自分の手で書き上げる「自筆証書遺言」です。
どちらも法律的には有効ですが、
とくに自筆証書遺言の場合、
トラブルが起こりやすいので注意が必要になります。
実際によくあるのは、
亡くなったあとに遺族が机のなかを整理していたところ、
自筆証書遺言が偶然見つかった、というケースです。
また、生前に「遺言書を書いたのだけれど…」
と家族に見せたものの、
拒否されてしまうことも少なくありません。
遺言書を書くときには、一大決心があったはずです。
本来、遺言書は残された家族に
しあわせに暮らしてもらうために、
書くものではないでしょうか。
せっかく思い切って書いたからには、
その遺言が家族のしあわせにつながってほしいものです。

◼️自筆証書遺言が家族の負担になることもある
社長として長年努力を重ね、大きな資産を築いたとします。
でも、その成果は決して社長ひとりの力だけではなく、
家族の支えがあったからこそ得られたものかもしれません。
たとえば、奥様が長年そばで支えてくれたのであれば、
安心して暮らせる住まいや、
生涯を通して不自由なく生活できる預金を
残してあげることが大切です。
また、経営を助けてくれたご長男が
事業を継ぐ意思を持っているのなら、
経営権を確実に引き継げるように必要な株式を、
すべてご長男に託すのが自然な流れでしょう。
とはいえ、本人に事業を継ぐ意志がないのに
「長男なんだから、お前がやれ」
と一方的に株式を譲ろうとしても、
すでに他社で重要な役職について
将来を期待されている立場であれば、
簡単には受け入れてもらえないでしょう。
また、「それなら妻に社長を任せればいい」と考えて、
奥様にすべての株式を残そうとしても、
「もう年齢的に社長業は引き受けたくない」
と断られてしまう可能性も高いのです。
このように家族の状況を十分に把握せずに、
遺言で財産の分け方を決めても、
受け入れてもらえずトラブルにつながりかねません。
だからこそ、事前に家族会議を行い、
相続について合意を得たうえで
遺言書を作成することが望ましいのです。
さらに、近年は家族会議の経験がない家庭も多いため、
弁護士などの専門家に相談することも得策といえるでしょう。
◼️家族の意向も確認する
たとえば、父親が亡くなって、
遺品を整理していたところ、
遺言書が見つかったとします。
でも、その内容が家族の意思とは大きく異なり、
思っていたことを一方的に書かれていたとしたら、
それを読んだ家族は
「どうして事前に相談してくれなかったんだ…」
という気持ちになりますよね。
生前に「会社を頼む!」とひと言伝えていれば、
何かしらの意思表示があったはずです。
それなのに、なぜ家族に相談せずに
遺言を書いてしまうのでしょうか?
「話しても断られるかもしれない…」
と思ったのでしょうか。
もし遺言書の内容を家族が受け入れられない場合、
自分たちで話し合って遺産を分けるしかありません。
つまり、全員が集まって
遺産分割協議を行うことになります。
これは本来、避けたい悲しい事態ですよね。
だからこそ、遺言書を作成するときには、
内容を拒まれる可能性があることも念頭に置き、
あらかじめ家族の意向を確認しておくことが大切です。

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