◼️ 元に戻す修繕か、価値を高める改良かが分かれ道
建物の雨漏りや、機械の故障などが起きたときには、
修理や修繕が必要になります。
その際、屋根を直すついでにトタン葺きから瓦葺きへ替えるなど、
性能や見た目をよくする工事を行うこともあるでしょう。
このように、形のある資産には、
修理や改良のためにさまざまな費用が発生します。
じつはこれらの支出は、
法人税のルール上、「修繕費」 と 「資本的支出」 の
どちらかに分けて考えられます。
もし「資本的支出」に該当する場合は、
資産の価値を高めたものとして、
資産の取得価額に加算されます。
一方で「修繕費」と判断されれば、
その修繕を行った事業年度の経費として処理できます。
そもそも修繕とは、「壊れる前の状態に戻すこと」を意味します。
たとえば、窓ガラスが割れてしまい、
同じ材質・同じ仕様のガラスに入れ替えたのであれば、
これは修繕費になります。
しかし、割れたことをきっかけに
出窓へ変更した場合はどうでしょうか。
この場合は、機能や価値が高まっているため、
修繕ではなく資産として扱われることになります。
-1.jpg)
◼️ 見た目が変われば「資産」になることも
アパートのリフォームで、
畳の部屋をフローリングに変更したケースを考えてみましょう。
「古くなったから張り替えた=修繕」と思われがちですが、
畳を新しい畳に替えるなら修繕でも、
仕様そのものを変えた場合は資産計上が正解です。
同じように、畳の日焼けによる入れ替えは修繕ですが、
まったく別の床材に変更すれば、
それは改良と判断され、資産になります。
数百万円かかるアパートの外壁塗装や、
10年に一度行う大規模修繕についても、
内容が「もとに戻す工事」であれば、
金額が大きくても修繕費となります。
判断の基準になるのは、現状回復なのか、
材質や色、仕様を大きく変えているのかという点です。
「修繕をすれば、すべて経費になる」と思われがちですが、
かならずしもそうではない、
ということを覚えておいてくださいね。
なお、この判断はとても難しく、
専門的な知識が必要になる場面も多いため、
迷ったときは顧問税理士に確認することをおすすめします。
【メッセージ】
社長さんの立場からすると、
「資産計上と経費計上、結局どちらがお得なの?」
と感じるかもしれません。
実際、そのようなご質問はよくいただきます。
ただ、ここで大切なのは、
お得かどうかを選べる話ではないという点です。
修繕か資本的支出かは、
あらかじめ決められた基準に照らして判断される
「事実認定」なのです。
もっとも、資産として計上された場合でも、
減価償却を通じて少しずつ損金にしていくことができます。
たとえば、トイレの水洗化が資本的支出と判断されたとしても、
「少額資産」に該当すれば、全額を損金にできるのです。
一度に経費にならなくても、
時間をかけて損金化できる仕組みがありますので、
必要以上に神経質にならなくても大丈夫ですよ。
.jpg)
『毎日の経理が楽しくなる!
毎月の会計が楽しみになる!
経理・総務実務の教科書』
好評発売中!
