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2025.6.30

家族で社長の未来を考えよう

■ご夫婦の対話で社長の人生設計を見直す

社長としての未来を考えるとき、

あなたはどのような選択をしますか?



ときに、ご家族のひと言が計画を一変させることもあります。




これは、以前のブログでお伝えした


「役員退職金チェックリスト 


 Q9 そもそも、亡くなるまで社長でいたいですか? 


 誰かに引き継ぎたいですか?」


という問いに関連するエピソードです。




あるお客様の事業承継にまつわるご相談で、

とても印象的な出来事がありました。


そのお客様は社長を退任するにあたり、会社をご子息へ継承し、


ご自身は数千万円の生存退職金を受け取る方向で


具体的な話を進めていました。




ところが、ある日ご夫婦でわたしの事務所へお越しいただいたとき、


奥様のひと言によって、それまでの計画がひっくり返ることになったのです。


そのひと言とは…



「あなたが70歳で完全に引退するなんて、きっと無理よ。


 だって、息子が経営している様子を見たら、

 口を出したくなるでしょう。


 もしうまくいかなかったら、イライラするはず。


 それならば、給料をもらいながら一生会長として関わり続けるほうが、


 あなたには向いているよ」


といったものでした。




このご夫婦は、30年以上にわたり、


二人三脚で力を合わせて会を経営されてきた経緯があり、


奥様は誰よりも社長のことを理解されています。



だからこそ、この発言には圧倒的な説得力がありました。




それを聞いた社長は、


当初は数千万円の退職金を生前に受け取るつもりでいましたが、


苦笑いしながら「たしかに、そうかもしれないね」と言っていました。




これは一見微笑ましいやり取りですが、


わたしにとっては、そこから2つの大きな気づきがあったのです。





■家族を含めて事業継承の計画を考えよう


ひとつ目の気づきは、


「かならずしも生前に退職金を受け取らなければいけないわけではない」


という点です。




これまでわたしは、


生前退職金と死亡退職金を


あまり明確に分けて考えていませんでした。




でも、社長には仕事を好きな人が多いので、


もし生涯社長のままでいることが


ご本人やご家族にとってしあわせならば、


それもひとつの選択肢になると感じたのです。





2つ目は、


退職金の金額に関する気づきがありました。




ひとつの考え方として、


たとえば生前に受け取る退職金が1億円だったとしても、


ある程度の年齢になってから亡くなった場合に、


死亡退職金として奥様に残すのであれば、


2000〜3000万円程度でもいいのではないか、


ということです。




死亡退職金の額は、


生前退職金と同額の1億円である必要はないのかもしれません。




もちろん、社長が亡くなったあとに受け取る金額は


多いに越したことはありませんが、


少なくとも2000〜3000万円の退職金額であれば、


税務署から「高すぎる」と指摘される可能性はほとんどないでしょう。




もし、奥様がその金額に納得されているのであれば、


とくに問題は生じないはずです。


現役をいつまで続けるかは、社長ご自身の人生観に関わることです。


人それぞれの価値観によっては、


こうした選択をするのもひとつのあり方ではないでしょうか。




余談ですが、


もしわたしとその社長の2人だけで話をしていたとしたら、


生前退職金の話題に終始してしまい、


社長やご家族が本当に望んでいることは


わからなかったかもしれません。




やはりご夫婦でお話できたことが、


よい結果をもたらしたのでしょう。




多くの中小企業は家族経営であるため、


退職金を含む事業承継については、


ご夫婦や後継者となるお子様を交えた話し合いを行うことが、


とても効果的です。




事業継承は、ご家族の価値観や人生観が大きく影響します。


ご自身の計画を見直す際に、


ご家族との対話を取り入れてみませんか?




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