◾️適切な事業承継や相続対策が「心の豊かさ」をもたらす
「まだ先のこと」と後回しにしがちな事業承継や相続対策ですが、
いざというときは、思ったよりも早くやってくるものです。
帝国データバンクの調査によれば、
2022年の全国の社長の平均年齢は60・4歳であり、
年代別に見ると60代以上が過半数を占めています。
同社が2020年に行った調査では、
約65%もの会社が後継者不在であることが明らかになりました。
また、日本政策金融公庫の調査によると、
60歳以上の経営者のうち6割近くが、
「後継者がいないため、自分の代で事業をやめる」
と考えていることもわかっています。
さらに、2024年の東京商工会議所が実施したアンケート調査によれば、
「事業承継には時間がかかる」と認識している会社が多い一方で、
実際に事業承継計画を作成している会社は、
全体の2割にも満たなかったとのことです。
事業承継の遅れが社会的な課題になるなか、
それを自社の問題として真剣に向き合っている会社は、
依然として少ない状況だと言えます。
会社の事業承継は、
社長個人の相続対策とも深く関わるものです。
とはいえ、わたしがお話ししたいのは、
事業承継の進め方や税制、
相続に関する専門的な知識ではありません。
そういった内容については、
多くの書籍で詳しく紹介されていますし、
最近ではインターネットで簡単に情報を得ることも可能です。
事業承継について参考になる資料としては、
中小企業庁が発行している
『経営者のための事業承継マニュアル』をおすすめします。
まずは、このマニュアルをご覧になったうえで、
税務に関することは税理士などの専門家に相談することが得策です。
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そもそも、事業承継や相続対策は、
「社長自身のお金を増やす」ことに、
直結するものではありません。
たしかに、相続税額を抑えることができれば、
一族としての資産を増やすことにはなります。
ただ、相続はあくまで社長本人が亡くなったあとの問題であり、
生前に社長自身の資産を増やすこととは別の話なのです。
たとえ、どれだけ「物質的な豊かさ」があったとしても、
家族の関係がギクシャクしていては
「心の豊かさ」は得られません。
事業承継や相続対策をきちんと行うことで、
「大きな安心感」や「争いのない円満な家庭」を築くことができます。
それは、何にも代え難い価値のあることではないでしょうか。
社長がよりよく生きるために、
心が豊かになる事業承継や相続対策をしていきたいものですね。
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