◼️経理自立支援を始めた3つの理由
なぜ経理や総務の現場では、
同じ質問が何度も繰り返されてしまうのでしょうか。
そこには、経営を支えるしくみが整っていない現実があります。
わたしは茨城県土浦市を拠点に、
有限会社KIYONOの代表取締役として、
企業の会計サポートや地主の方々の相続相談に取り組んでいます。
夫・清野宏之が運営する税理士事務所と協力しながら、
二人三脚で37年間活動を続けてきました。
ここからは、経理や総務の初心者でも、
安心して実務に取り組めるようになるポイントをお伝えしていきます。
その基盤となるのが、
有限会社KIYONOが企業向けに展開している
「KIYONO式経理自立支援」です。
経理自立支援を始めることになったのには、
大きく3つの理由があります。
まず1つ目は、企業を支援するうえで
「共通の言葉」が必要だと感じたことです。
経理の業務には、
年に1度の決算時しか行わない仕訳や
手続きが多く含まれています。
そのため、担当者の方がどうしても忘れてしまうのです。
実際、以前に説明した内容について
何度も同じ質問を受けることが少なくありませんでした。
そこで、「一度しっかりと学んでもらうしくみが必要だ」
と考えるようになったのです。
2つ目の理由は、当社のお客様には
個人事業から法人化したばかりの会社が多いことです。
そうした「ひとり社長」の方々は、
まだ会社の運営に不慣れで、
会計事務所の担当者とうまく意思疎通ができないことがあります。
だからこそ、最低限の業界用語だけでも身につけて、
担当者とスムーズに会話できるようになってほしい、と考えました。
3つ目の理由は、中小企業に
「月次決算」を根付かせたいと考えたことです。
大企業では、毎月最新の試算表を作成する
月次決算の重要性が比較的理解されていますが、
中小企業ではかならずしもそうとは言えません。
実際に銀行へ融資の相談に行くと、
「最新の試算表をご用意ください」と言われることがあります。
8月に3月末の決算書を提示しても、
銀行は会社の現在の状況を把握できません。
そのため、月次決算を行い、
その数値を反映した試算表が必要とされるのです。
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◼️月次決算の効果と必要性を知る
マラソン選手が42.195キロを走り終えてから
タイムを確認するのではなく、
5キロごとにラップタイムを見ながら
自分のペースを調整するように、
会社経営も同じです。
決算が終わってから数字を確認するのでは遅く、
期の途中で数値を把握しなければ、
計画通りに進んでいるかどうかはわかりません。
月次決算を導入すれば、
本決算を迎える前に計画との差をつかみ、
次の打ち手を講じることができます。
資金繰りの改善にも業績アップにも大きな効果を発揮しますが、
実際には多くの中小企業が月次決算を行うための
基礎知識やITスキルを持ち合わせていません。
そこでわたしは、クライアントが自然に
「月次決算ができるようになった!」
と実感できるカリキュラムを考案し、
レクチャーを始めたのです。
最初にこのレクチャーを実施したのは、
農業を営む家族経営の会社でした。
当初、経理を担当していた女性は
パソコン操作すらできない状態でしたが、
Excelの使い方から丁寧に指導を始めたところ、
やがて会計ソフトへの入力ができるようになりました。
そして驚くことに、わずか3ヵ月後には
月次決算をこなせるまでに成長したのです。
農政局の立ち入り検査があったとき、
「家族経営の会社で月次決算なんて、すごいですね、とほめられました」
と喜んでいたので、わたしもうれしくなり、
「これも教えたい、あれも教えたい」と
範囲が総務にまで広がってしまいました。
最初は月次決算ができるようにするだけの内容でしたが、
現在では30項目にまで拡大し、
「KIYONO式経理自立支援」
という講座として体系化されました。
この経理自立支援の内容を、
経理・総務担当の人たち、
新人担当者の教育や後任への
業務引き継ぎに使ってほしいのです。
ただそれだけではなく、
経営者の方々にも読んでほしいと思っています。
なぜなら、会社がある程度の規模になると
仕事は他人の手に渡っていき、
とくに事務については「なぜ、こんなことをやっているの?」
と社長が疑問に思うことが多いからです。
経理や総務は会社の屋台骨であり、
「社長として、最低限これだけは知っておいてほしい」
といったことのオンパレードです。
もちろん、社長が経理・総務の仕事を
すべて知る必要はありません。
ただ、事務の担当者と共通言語を持つことで、
会社全体の状況をさらに
つかみやすくなるのではないでしょうか。
「KIYONO式経理自立支援」のエッセンスを
経理・総務の担当者が取り入れることで、
小さな一歩が積み重なり、
会社の未来を大きく変えていくでしょう。
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