◼️社員への支払い記録をまとめる「賃金台帳」をつくる
労働基準法では、「社員(労働者)名簿」「出勤簿」と並び、
法定三帳簿のひとつとして
「賃金台帳」の作成と保管が義務づけられています。
賃金台帳は、社員への給与支払い状況や
勤務時間を記録するための帳簿です。
対象となるのは、その企業で働くすべての従業員で、
正社員だけでなく、契約社員、アルバイト、パート、
短期雇用者なども含まれます。
賃金台帳には、毎月の給与や賞与について、
社員ごとに次の内容を記載します。
・従業員の名前と性別
・賃金の計算対象期間
・労働日数と労働時間数
・時間外勤務時間数
・深夜・休日労働時間数
・基本給や手当などの種類とその額
・税金や保険の控除項目とその額
なお、役員は原則として対象外ですが、
社会保険の手続きの関係で、
報酬額を記載している会社も多くあります。
その場合は、勤務時間や労働日数は不要で、
金額欄だけで問題ありません。
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◼️まずは「社長自身の賃金台帳」からはじめよう
法人成りした「ひとり社長」の場合、
まずは自分の賃金台帳を作成してみましょう。
フォーマットは、インターネットで
「賃金台帳 テンプレート」などで検索すれば入手できます。
実務的には、社会保険労務士(社労士)に相談すれば、
報酬額に応じた社会保険料を教えてもらえるため、
その金額を転記する形で作成すれば十分です。
作成後は、毎月更新し、
社労士にメールで送っておくと
スムーズに手続きしてもらえます。
たとえば1月分を作成する場合、
労働日数や残業時間は不要です。
役員報酬は1年分をあらかじめ決めているため、
報酬額を入力し、その報酬に対する
健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料を記載します。
これらの計算はプロに任せるのが安心です。
所得税や住民税の計算については、
まずは必要項目を埋めて、
毎月の更新を習慣化しておきましょう。
新しく社員を雇う際も、
この賃金台帳に追加していけばOKです。
◼️社会保険料のしくみを押さえておく
社会保険料(健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料)は、
毎年9月に切り替わります。
これは、4〜6月の報酬の平均をもとに
「標準報酬月額」が決定されるためです。
毎年7月に提出する「算定基礎届」に基づいて
標準報酬月額が見直され、
9月から新しい保険料が適用されます。
実際の給与計算上では、
10月支給分の給与から
変更後の保険料を控除する形になります。
このような細かい対応は通常、社労士が行ってくれますが、
経営者として知っておくと、社内管理の理解が深まります。
【メッセージ】
①ひとり社長様、経営者の皆様へ
業績が軌道に乗り、従業員が増えてきたら、
賃金台帳の作成をシステム化するのもおすすめです。
更新がスムーズになり、担当者の負担も減りますよ。
②人事・総務ご担当者様へ
賃金台帳の仕組みを理解することで、
給与管理の全体像が明確になり、
誤記やミスを防ぐことができます。
正確な給与管理は、社員の信頼にもつながりますよ。
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