◼️販売しない「会社の物(資産)」は、4つに分けて考える
「固定資産や償却は、どうも苦手で……」
そんな声を、社長さんから聞くことは少なくありません。
でも、考え方のポイントさえ押さえれば、
決して難しいものではないのです。
会社が販売目的ではなく保有する「物」は、
取得した金額をどのように費用化していくかという償却の観点で、
大きく次の4つに整理できます。
①消耗品費
②一括償却資産
③少額(減価償却)資産
④固定資産
まず、①の消耗品費は、購入金額が10万円未満のものです。
この場合は、購入した金額を
そのまま一度に損金として処理できます。
一方、10万円以上のものは原則として、
④の固定資産になりますが、金額や条件によっては、
②の一括償却資産や③の少額(減価償却)資産として、
より早く損金にできるケースもあります。
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図をもう少し具体的に整理すると、
次のようになります。
・10万円以上20万円未満の資産は、
②③④のいずれかを選択できる。
・30万円未満の資産は、
青色申告であれば③の少額減価償却資産として
一括で損金算入できる。
ただし、平成18年(2006年)の税制改正により、
事業年度内における少額減価償却資産の合計が
300万円を超える部分は、資産計上が必要。
この「選択できる」という点が、
償却をややこしく感じさせる理由かもしれませんね。
◼️ 15万円のパソコンを買ったら、どう処理する?
ここで、実際によくあるケースを見てみましょう。
たとえば、15万円のパソコンを購入したとします。
パソコンの耐用年数は4年ですから、
④の固定資産として処理すると、
15万円 ÷ 4年 = 年間37,500円しか損金にできません。
でも、この金額は10万円以上20万円未満です。
そこで②の一括償却資産を選べば、
15万円 ÷ 3年 = 年間5万円を損金にできます。
さらに、この会社が青色申告であれば、
③の少額減価償却資産として、
15万円を一度に損金算入することも可能です。
その年度内に、
30万円未満の資産の合計が
300万円を超えていなければ、
この方法がもっとも有利になります。
最近、一括償却資産があまり使われなくなっているのは、
この少額減価償却資産の制度があるから、
と考えると理解しやすいでしょう。
なお、少額減価償却資産の合計が
300万円を超えてしまった場合には、
10万円以上20万円未満のものは②へ、
20万円を超えるものは④の固定資産として
処理することになります。
また、「金額は税込ですか? 税抜ですか?」
という質問もよくありますが、
消費税の免税事業者、
または簡易課税事業者は税込金額、
本則課税事業者は税抜金額で判定する点も、
押さえておきたいところです。
◼️見落としがちな「償却資産税」にも注意
あまり耳にする機会は多くありませんが、
「償却資産税」という税金があることも知っておきましょう。
これは、法人や個人事業主が所有する
土地・建物・自動車以外の事業用資産に対して課される、
固定資産税の一種です。
土地や建物は登記、
自動車は登録によって行政が把握していますが、
パソコンやコピー機、印刷機といった資産は、
自治体側では把握できません。
そのため、毎年12月頃に市町村から申告書が届き、
翌年1月末までに自主申告を行う仕組みになっています。
注意したいのは、
・現在使っていなくても、廃棄していなければ対象になること
・10万円以上30万円未満で一括損金にした資産も対象に含まれること
この2点です。
【メッセージ】
「物の償却」がややこしく感じる理由のひとつは、
法人の場合、購入金額によって処理方法を選べる点です。
裏を返せば、会社にとって有利な方法を選べる、
ということでもあります。
ただし、節税を意識するあまり、
本来ひとつのセット商品を分けて判断することはできません。
たとえば、44万円の応接セットを
「椅子とテーブルに分けて、それぞれ30万円未満」
とすることは認められません。
判断に迷う場面では、無理に自己判断せず、
顧問税理士と相談しながら進めていくのが安心ですね。
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