■【実質基準】実質的に退職したものと認識される必要がある
役員退職金の3つの基準について、ひとつ目からご紹介してきました。
今回、3つ目の「実質基準」についてお伝えします。
中小企業や零細企業では、社長が退任したにもかかわらず、
経営から完全に身を引かずに、引き続き影響力を持つケースがあります。
役職を離れたあとも経営上主要なポジションにとどまっている場合は、
その人が退職したものと認められないため、
損金算入が否認されてしまいます。
これが、役員退職金の「実質基準」です。
たとえば、社長が退職後も院政のように経営に携わっている場合、
退職したとみなされない可能性が高くなります。

法人税基本通達によれば、
分掌変更(社長が会長や監査役に退きながら、引き続き会社に在職すること)などにともない、
受け取った役員退職金については、
次の①〜③の要件に当てはまれば、実質的に退職したものとみなされ、
退職金の扱いで損金算入が認められています。
①常勤役員が非常勤役員になったこと
非常勤であっても、代表権持っていたり、
実質的に会社の経営において主要な地位を占めていると認められる場合、
退職とみなされないため、注意が必要です。
②取締役が監査役になったこと
監査役であっても、
実際は会社の経営で主要な地位を占めていると認識される場合や、
会社の株式の保有割合が所定の基準を超えている場合、
退職とみなされないため、注意が必要です。
③分掌変更後にその役員の給与が概ね50%以上減額されたこと
これも、分掌変更後に会社の経営において、
主要な地位を占めていると認められる者の場合は、退職とみなされません。
