■適正な税金を納めるためにも専門家のアドバイスを取り入れよう
役員退職金の扱いは、
企業の財務に大きな影響を与えるため、
そのリスク管理が重要です。
役員退職金の損金算入が認められない場合の
リスクを整理してみましょう。
まず、役員退職金が税務署から一部、
またはすべてが過大と判断された場合、
その過大分が利益に加算され、
法人税の負担が増えることになります。
次に、税務調査などで追徴課税されたときは、
納期限を過ぎた分に延滞税が発生しますので、
期限をまもることが重要です。
さらに、悪意はないと判断されれば
重加算税の対象にはなりませんが、
株主総会や取締役会を偽装し、
議事録を作成している場合には、
重加算税が課される可能性があります。
透明性を保つことは、とても大切なことなのです。
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実際に、税務調査で3億円の役員退職慰労金の全額が、
損金算入を認められなかったケースがあります。
この事例では、いくつかの問題が明るみに出ました。
まず、株主総会の議事録が存在せず、
新社長も退職金の額を把握していなかったという点です。
また、開催されていない取締役会の議事録が
作成されていたことも判明しました。
これらの不備が重なり、
延滞税に加えて重加算税として35%が追加され、
多額の追徴課税を受ける結果となりました。
場合によっては、
想定外の税金を納めることにもなりかねません。
さらに、利益が増えることで
予期せぬ株価上昇を招く可能性もあります。
そのため、役員退職金の支給にともなうリスクを理解したうえで、
できる限り慎重な取り組みが求められるのです。
ただ、リスクがあるからといって、
「役員退職慰労金の支給はやめておこう」
と考えるのは、正しくありません。
専門家のアドバイスを取り入れつつ、
最適な金額を設定して、正当な手続きを踏むことで、
経営権を持っていると指摘されない状況をつくりましょう。
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